シークレット・オブ・モンスターのネタバレあらすじ解説!
主人公の謎に迫る

第72回ヴェネツィア国際映画祭で監督賞・初長編作品賞を受賞した2015年の映画「シークレット・オブ・モンスター」

癇癪持ちで、周りの大人たちに理解できない言動を繰り返す主人公・プレスコット君の謎と秘密に迫る、「心理ミステリー」と呼ばれるジャンルの傑作です。

しかし物語の構造が構造だけに、登場人物が動機の見えない行動を繰り返す上、その謎も極めて限定的にしか解明されないため、

「結局、どういう物語だったんだ?」

と感じてしまった方もいらっしゃるかもしれません。

そこでこのページでは、わかりにくいシークレット・オブ・モンスターのストーリーについて、ネタバレを交えながら徹底解説します。

映画をまだご覧になっていない方は回れ右推奨です!

プレスコットの不可解な言動

「シークレット・オブ・モンスター」を見ている観客にずっとしこりを残し続けるのは、やはりプレスコット君による数々の奇行。

彼が絶えず奇妙な言動を繰り返し、最終的に独裁者となるに至った理由について考える前に、まず彼が「何を」したのかについて、ここでおさらいをしておきましょう。

・教会で演劇の稽古中、村人たちに石を投げつける
・翌日の教会で神父と合った後、突然逃げ出す
・かと思えば道中突然足を止め、母に謝罪する
・フランス語の家庭教師「アダ」に髪を切るよう言われ機嫌を損ねるが、全編通して女の子と間違われることには極端な拒否反応を示す
・父親と政府関係者の会議に、大きく肌を露出した格好で現れ、食事を抜かれたり暴力を振るわれたりしてもなお服を着ない
・ヴェルサイユ条約締結の祝賀会で、母親の頭を石で殴る

これだけ不可解な行動を繰り返しながら、その理由についてはラスト数分まで全くといっていいほど示されないのがこの作品。

単純にプレスコットが癇癪持ちだったことや、両親の子育てがあまりよくなかったことに理由を求めることもできますが、それだけではこの映画の謎を解明できたとは言えません。

彼が独善的な存在となった決定的な理由はなんなのか、その謎はラスト15分で明かされます。

謎が一気に解明されるラスト

物語のラスト、激昂したプレスコットがついに卒倒すると、時間は数十年後の未来まで一気に進みます。

良くしつらえられた廊下や階段、大きな天窓のある建物の中で、指導者(おそらくは独裁者)となったプレスコットが「プレスコット万歳!」の声に応えて手を挙げます。

ここで注目すべきは、大人になったプレスコットを演じる役者。
父の友人であるチャールズを演じたロバート・パティンソンが「兼役」しているのです。

ここから導き出される一つの結論は、プレスコットは、母とチャールズの間に生まれた私生児だったということ。

シークレット・オブ・モンスターを心理ミステリーとして見るなら、この事実が最大の謎の答えということになりますね。

更に深まる謎

ラストシーンを見ることによって、プレスコットが父母や、ひいては世界に反抗的だった理由については、おおむね説明がつくだろうと思います。

敬虔なはずの家庭で私生児として生まれ、家族も神も信じられなくなった少年がすべてに反抗し、最終的には「自分が両親に受けたような教育を全国民にふりかざす独裁者」となったわけです。

しかし大筋について理解できても、プレスコットの個々の行いについては、まだいくつか疑問が残ります。

例えば、女の子に間違えられて怒るのは子供の反応としてそう珍しくないにしても、アダから提案されてなお髪を切らなかった理由については、明確には語られていません。

また、両親との亀裂が決定的になって以降、反抗を示す手段として「服を着ない」という手段を取った理由についても疑問が残ります。

このあたりの解釈は恐らく視聴者にゆだねられおり、確たる正解はないともいえるでしょう。

当サイトでは、そういった疑問に対してファンの方が考察を深められるよう、監督の俳優時代の出演作原作者の著作、また原作者の哲学的立場などについて、詳しい情報をまとめています。

他のページをご覧いただき、また改めて映画を見てみることで、自分だけの結論を探し出せるのではないでしょうか。

更に考察を深めたい方へ

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

一度見ただけではわかりにくい「シークレット・オブ・モンスター」のストーリーについて、ネタバレを交えながら解説させて頂きました。

このページが、みなさんの理解や、さらなる考察のきっかけになったなら嬉しく思います。

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